写真のこばなし

2021-07-28 16:00:00

こばなし⑩

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※このコーナーは写真に対する話を勝手に話す自己満足的コーナーです。特に何の情報も含まれません。

この写真、よくお客様に好きと言って頂けることが多いです。私も好きです、もちろん。

専門学校で写真を勉強していた時、よく言われていた言葉があります。

「白は白く撮れ」

写真をやっていない方にとっては「はい?白は白く写るでしょ?」と思うかもしれないですね。でも何と、白って白く写らないんですよ。細かい技術については語りませんが、被写体が白いからって、それに安心してると正しい白は撮れないんです。白って結局何色なのかな、そんな風に考えていないと、白は写真に写ってくれません。

そんな訳で、私の中で「白を表現できてこそプロ」という基準がありまして。それをクリアしたくて撮ったのがこの写真です。とても肌が白いお客さんに白い服を着せて、白い傘を持たせて、白い背景で。全てしっかりと白、でも同化せず、際立たせあっている。

室内で傘を持たせて長靴を履かせて、それなのに晴天のような光だから、理不尽で誰も理解してくれない気がしてたんですが、実際見せるとみんなこの写真が好きだと言ってくれます。誰もがみんなカメラを持っていて、好きなだけ色をいじれる時代で、この白い写真が好まれるのは不思議な気分です。みんな本当はちゃんとした色が見たいんじゃないのかな、と思わせてくれた写真でもあります。

撮る時、このお客さんにここまで説明してない気がしますね。それだけこの写真に賭けたい思いが多すぎて。他にもいろんな理由があってこの写真になってます。とにかく肌が白くてありがとうございます。おかげで撮れた、ちゃんと撮れた。

2021-07-04 22:31:00

こばなし⑨

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※このコーナーは写真に対する話を勝手に話す自己満足的コーナーです。特に何の情報も含まれません。

浴衣って撮ったことありますか。大体ないですよね、分かってます。分かった上でお聞きします。なんでですか。

浴衣めっちゃ可愛いじゃないですか。私の所には「浴衣で撮りたい」というお客様が普通にいらっしゃいますよ。なんたってジャージで写ろうとする方もいらっしゃるくらいですから。礼装じゃないとか、元々寝間着だとか、そんなことは関係ないのです。本人のテンションが上がれば、それは写真に写る価値のある一張羅です。

浴衣の時は、あまりシワとか袖とかを直しすぎずに撮るのが好きです。礼装じゃない気軽さと、夏の湿度を感じるような少しクタっとした布の柔らかさ。ちゃんとしなきゃ、という緊張感から程よく解放されたお客様の表情。浴衣でしか撮れない写真、夏の今こそ撮ってほしいです。

で、こちらのお客様の浴衣姿、どうですか。めっちゃ可愛いですよね。ちょっと分かりづらいかもですが、果物がたくさんプリントされてまして。見てるだけでビタミンが摂取できそうで、元気が出る気がします。毎度いい服選ぶんですよ、この方。麦わら帽子やその他カジュアルなアイテムと合わせられるのも、浴衣の魅力ですよね。むしろ合わせてきてほしい。そんな浴衣写真未経験の方に、参考にしてほしいお写真なのです。夏だぜ。

2021-07-02 00:32:00

こばなし⑧

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お客様からリクエストを頂いてこばなしを書くという企て中です。仲いいんです、お客さんと。

少し前に着物大好き!というこばなしを書いたんですが、好きすぎて撮りすぎた結果「ちょっと一旦いいや」などと思ってしまい(今は大好きに戻ってます)、「ジャージを撮らせてくれ!」とTwitterで言ってみたんですよね。誰も来る訳ないと思うじゃないですか。わざわざジャージの写真に金払うかよ、と。思いますよね。見て下さいよ、いらしたんです。

そんな感じで、お客様に驚かされることがあるんですよね。写真は特別な衣装じゃなくてもいいんだよ、と自分で言いながらも、ジャージは違うだろ、と自分で思い込んでいたことに気づかされたんです。この方以外にも何名様かいらっしゃいましたし。そうだわ、特別な衣装じゃなくていいんだわ、私とお客さんで特別にすればいいんだわ、と思ったんですよね。

楽しかったですよ、この撮影。駐輪場で撮ったり、米の自動販売機の前で撮ったり。ジャージならではの場所で撮れて。その辺の公園の地べたにどーん、と座ってもらった時の妙な達成感と言ったらもう。「写真撮るような服持ってないわ」という方でも気軽に味わえる特別感、是非ジャージで感じてほしいです。

と言ってもこちらのお客様、仕上げっぷり最高で最早ジャージの域超えてますよね。ジャージでここまでカッコ良くなるか…?これジャージか?と触らせてもらいました。ジャージでした。すげぇ。

2021-06-29 23:57:00

こばなし⑦

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※このコーナーは写真に対する話を勝手に話す自己満足的コーナーです。特に何の情報も含まれません。

 

ずっと思ってるんですけど、プロフィール写真ってナメられがちですよね。口が悪くて申し訳ないんですけど。

とりあえずシンプルな背景で顔が見えればいい、みたいな感じじゃないですかね。一般的なイメージって。まぁ役割は果たすと思うんですよ。プロフィール写真って大体何かとセットで使うし。写真で分からない部分は文字で補えばいい。だから、スマホで撮るより多少綺麗に写ってればいいです、と。確かにな、とは思います。

でも私は思うんですよね。もうちょい踏み込めないもんかね、と。あの駅によく置いてある証明写真機にはできないことができるんじゃないの?せっかく話せる人間と、その話を聞ける人間がいるんだから。シンプルな背景で、と言うなら、そこで捨てた情報量の分、何かその人らしい情報を足したっていいんじゃないの?と。

そんな訳で、とある女性を撮りました。着物を広める活動をしたり、舞台の衣装を作ったり、服をリメイクして別の物に生まれ変わらせたりする、まさに話を聞かないと何をしてる人か分からない人です。

単に着物を着てる女性を撮るだけじゃ生まれない、その人に対する興味が生まれれば、この写真は成功です。もちろんシンプルな写真も撮りましたけど。最後に付け足すちょっと余計な仕事。そこに私の仕事があると思ってます。

2021-06-27 22:17:00

こばなし⑥

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※このコーナーは写真に対する話を勝手に話す自己満足的コーナーです。特に何の情報も含まれません。

 

撮影の時に小道具あまり使わない、って前に書いたと思うんですけど、めっちゃ使ってますねこの写真。嘘ついたかも。

 

なんだろう、使う時と使わない時とでは撮影する時のモードが違う感じですかね、言い訳するなら。

 

「その人自身が分かるように撮りたい時」と「何か他のキャラクターにさせたい時」ってのがあって。「その人自身が分かるように撮りたい時」はあまり使わないです、思い入れある私物なら使うかもしれませんが、基本要らないと思ってます。ポーズもそんなに作りこまないし。必要ない。

「何か他のキャラクターにさせたい時」は、小道具を使うと一気に別世界が創れる感じがするんで使いがちですね。似合いそうなもの、好きそうなものをガンガン押し付けます。

色んなお客さんがいるんで、打ち合わせの時にどちらのタイプかをつかんで、それに合わせて切り替える感じです。

 

こちらのお客さんは役者さんで、何度か撮らせて頂いてるのですが、その都度違う人に見えるくらい着るもののコンセプトがハッキリしてる方です。

役名はないですが、まだ見つけられていない物語の誰かを演じてもらってます。ちょっと行儀が悪くて、それなのに上品で、とびきりお洒落で賢くて、優しく見えるけど、誰も本心を知らない。そんな登場人物。

自分じゃない誰かになりたい時は、写真が叶えてくれるかもしれません。

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